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「犬神家の一族」1976年角川映画


2012年、ダイハツ・ミライースCMの音楽に「ピクピクッ!」と反応した方が、果たして日本に2000万人はいたのではないかと憶測を呼ぶあの曲…、そう…「犬神家の一族」愛のバラード、作曲は大野雄二である。

2006年にリメイクされ、新たにこのミステリ映画の名作を知る人が増えたことだろう。
しかし、オリジナルを超えることは映画にとっても難しい技であることに変わりない。

やはりここは1976年の昭和どまんなかの方を観てみよう。
説明するのもヤボな話ゆえ、ちょっとだけ映像の力をお借りしよう↓


予告編だけで、もうたまらない。映画として、あるいはミステリとして、最高に扇情的だ。
そして美しいと感じるのは、さすが監督・市川昆のこだわりを随所に見るからだろう。

製薬財閥・犬神家の当主、犬神佐兵衛の遺言によって
莫大な遺産と事業の行方を左右することになる美女・野々宮珠世。
佐兵衛の恩人の末裔である珠世と、彼女を巡る犬神家の複雑な人間模様。

重厚で華麗。
例えば、遺言開封の日には、弁護士の古舘は正装でのぞみ、金箔の襖がめぐらされた大広間(照明は美しいシェード付き)に、犬神佐兵衛の血縁者のみ紋付の礼装で集まる一族たち。
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佐兵衛がその時々の妾に生ませた(=母親の違う)三人姉妹とその息子、そして珠世だけが紋付で
三人姉妹の夫などは普通に背広。つまり血縁ではないと、示している。
ここで、珠世が紋付を着ているのには意味があるのだが、それはあとになって分かる仕掛けだ。

このように些細な仕掛けを張り巡らし、映像美へと集約させているのが市川監督だ。

回想シーンにはモノクロからさらに特殊効果を重ねた映像が数種類使われ、
若き日の三姉妹による青沼母子襲撃シーンなどは、おぞましい惨劇をたいへん印象的な様式美で撮っている。

2時間30分という長さにもかかわらず、一切のたるみがない。
次々と起こる見立て殺人と謎解きと隠された過去がスリリングに展開する。
それを支える俳優がこれまた達者なメンバーだ。
石坂浩二、坂口良子(女中の演技が可愛くてたまらん)
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高峰三枝子(犬神家長女の迫力が凄すぎる)スケキヨの母である。
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三国連太郎(布団で寝てるのと遺影だけなのに、凄い存在感)
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島田陽子(まさに何を考えているか分からないくらい謎めいている野々宮珠世)
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草笛光子、三條美紀、あおい輝彦、三木のり平、加藤武(よし!わかった!)寺田稔、などなど、画面がピシッと引きしまる。

「犬神家の一族」のおもしろさの一つは時代背景と血のつながりにあると思う。
日本が明治・大正期を経て近代国家へと変貌する中で隆盛したものが、敗戦によって変わろうとしている時代だ。
それを喪失とするか、再生とするかは、人の立場によりけりだが、
少なくとも日本人が置き去りにしたものの、忘れられない何かを突きつけるミステリーだ。
横溝正史の代表作にはそうしたものが多い。
そして、「一族」は当時流行語になった。日本人にとって血縁とは侮れないもののようだ。
この映画に限ってネタバレしたくないが、野々宮珠世が紋付を着ているのも、この血縁がなせるわざなのだ。

故人・佐兵衛にがんじがらめにされた世界が惨劇の末に解放される。
金田一耕介が列車に飛び乗るラストシーンに、事件の関係者は誰もいない。
彼とともに事件を目撃した観客は、明るい余韻とともに劇場を去ることができる。

そう…犬神家を象徴するシーンを思い出すこともなく…↓
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(でも、思い出すと今度は笑ってしまうかもしれないですね。)

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今回のプラスワン

この映画で高峰三枝子の堂々たる年輪&風格に驚いたワタクシですが、
ワタクシの母が戦後間もない女子中学生だった頃、
「朱と緑」に主演していた若き高峰三枝子↓を観て
inu7.jpg

母親(ワタクシの母方の祖母)に「この世にあんな綺麗な人がいるなんて信じられないッッ!」と絶叫すると
祖母はふふふと笑って、「そりゃあ高峰三枝子だものねぇ」と余裕しゃくしゃくで応えたとか。

それはともかく横溝正史の文は読みやすく、「犬神家の一族」文庫版は一晩で読んでしまった。

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行間からにじみ出る日本独特の湿り気、
村落共同体とそこからはみ出た者たち、
分限者と呼ばれた権力者や富裕者、
移りゆく力関係、戦争の名残り、
そうした社会構造を背景に、欲望と因習に絡め取られた悲劇は、一転して娯楽になった。
そして、ノスタルジィの対象になるほど、戦後が遠くなっいたのが、1976年。
すでに平成25年であり、敗戦の年から70年近くになる今、映画「犬神家の一族」は果てしなくノスタルジックな美学だ。

一応2006年のリメイク版も観たが、やはり時代は変わってしまった感がある。
松嶋菜々子さんは平成の顔と体を持っている。

当時耐震工事をしていた我が家に足しげく来てくれた工務店のT現場監督と、
お年を召した石坂浩二さんの目がそっくりで、
映画を楽しみにいったはずなのに、金田一耕介がアップになるたびに「ああっ!あなたはT現場監督ッッ!!」と工事のことを思い出してしまい、映画を全然楽しめなかったという…。

T監督ッ、1000円返して下さいっ!

(元記事は2013年6月7日に書かれました・エントリー714)
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