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「フランティック」1988年アメリカ製作

前回取り上げた「シャレード」がパリを舞台にしたロマンティック・サスペンスなら
今回の「フランティック」はパリを舞台にしたシリアス・サスペンスと言えるでしょう。
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監督はパリ生まれで1987年にフランスの市民権を得たロマン・ポランスキーだけあって
全然観光向けでないパリのもう一つの顔を撮りまくっている。そこがたまらなくいい!

アメリカから学会出席のためパリに来た外科医リチャード・ウォーカー(ハリソン・フォード)。
彼の語学力は挨拶程度の仏語。妻のサンドラは仏語ペラペラ。
新婚旅行以来のパリ旅行にちょっと浮き浮きのはずなのに、
夜明けのシャルル・ド・ゴール空港からパリに向かうタクシーはパンクで立ち往生。
黒人の運転手が代替えのタクシーを呼べば、犬が同乗してて朝の大渋滞に巻き込まれる。
早朝のパリの朝をゴミ収集車が轟音を立てていく。

しょっぱなから観光向けではありません。

外科医がシャワーを浴びている間にホテルから忽然と消えた妻。
言葉の壁と融通の利かない慣習の壁に翻弄される外科医。もはや学会どころではない。
妻を探して孤立無援の三千里。

この映画、字幕は英語の部分だけに付き、仏語はまったく分からないようになっています。
それゆえ観客も外科医と同じ気分を味わうことができます。(仏語に堪能な観客でもイライラするかもしれませんが)
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なにしろ妻がホテルを出た時、男が一緒だったというだけで、
ホテルの従業員も、パリ警察も、アメリカ大使館の職員も
「奥さんはパリに恋人がいたのです。え?ご存じなかった?」と言わんばかりの態度。
旦那としては二重にツラいです。
捜査の見通しはまったくないうえに、超誤解。さすがは間違った方向にamourの都、パリ。

武器密輸の運び屋をしたフランス人女性・ミシェル↓がサンドラのカバンを空港で取り違えたために
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サンドラが中東マフィアに誘拐されちゃったのですが、
ホテルの向かいの花屋で妻の写真を取り出して、英語で「探しているんだ」と言えば、
プレゼントだと勘違いした店員は花を選び始めるし、
隣のカフェでは店主は英語が全然ダメで、ギャルソンが通訳。
ちょっと怪しい常連客が誘拐現場を教えてくれるが、情報料をせびりまくるという図々しさ。

で、警察に行けば書類を揃えるのに一週間かかるところを特別にやってるんだぜと凄まれ、
アメリカ大使館では行列に並んだあげく、何の力にもなれませんと一蹴させる始末。

ハリソン・フォードの困ったお顔がいよいよ険しくなっていきます。
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打つ手がなくなった彼は取り違えたカバンをこじ開けます。
ここからが本領発揮だ、ハリソン・フォード!と期待しても、インディ・ジョーンズではないので、とにかく困り果てた中年男がパリをうろうろするばかりです。
唯一の手がかりは、バー「青鸚鵡」のマッチ箱に書かれたデデなる男とその電話番号。
「青鸚鵡」で麻薬の売人に大枚はたいてデデの住所を聞き出すが、
デデはすでに殺されていましたッ!
デデの留守番電話のテープをホテルへ持って帰って翻訳してもらい、やっとミシェルと出会うものの、
マフィアの手が回ってきます。おっかねー。
肝心のブツはお土産サイズの自由の女神像の中。
それが屋根を滑り落ちたりして、パリの空の下、屋根裏の窓から決死の拾い物をする外科医とミシェル。
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果たして、サンドラは無事なのか。
アメリカ大使館はこの事情を利用しようと画策するし、中東マフィアに狙われた外科医とミシェルの命はどうなる。

このミシェル、素性は麻薬の運び屋という以外は謎の女。いでたちは常に皮ジャンでゴシックで厚化粧。
外科医と協力するのも運び屋の報酬のためかと思いきや、情に厚いところを見せたりして
かわいい女でもあって、実はそこが好きです。
可哀そうなことに彼女はラストの銃撃戦で死んでしまいます。
「独りにしないで」と言って絶命するのですが、本当の彼女の心をかいま見たようです。
ああ~、こんな魅力的な女を殺すなんて!もったいないッ!
 
再びゴミ収集車が出動中のパリ。
外科医と妻はタクシーの中でつらかった数日を慰めるように抱擁します。
日暮れを迎え、パンテオン広場の西、スフロ通りからの長いエッフェル塔の俯瞰ショットが美しくもやるせないエンディングでした。

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今回のプラスワン

さて観光向けでないパリと言いつつ、名所を象徴的に取り込んだポランスキー監督。

たとえば外科医のホテルの部屋からは、芸術の殿堂パリ・オペラ座が真正面に見えます。すばらしい眺めです。
しかし、芸術とは狂気や美醜の紙一重をも含むもの。
誰が言ったか「きれいはきたない きたないはきれい」

そして、密輸に使われた自由の女神像。
ニューヨークのリバティ島の自由の女神はアメリカ独立100周年記念にフランスから贈られたものです。
その返礼として、今度はパリ在住のアメリカ人が、フランス革命100周年記念に自由の女神像を贈りました。
セーヌ川のグルネル橋のたもとに立っています。
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なぜポランスキー監督はこの像を密輸の道具に使ったのでしょう。
ユダヤ系ポーランド人としてパリに生まれた彼は、ナチス・ドイツのために凄惨な青春を過ごし、
のちにユダヤ人が自由に活動できると信じて移り住んだアメリカで悲劇に見舞われます。
そしてアメリカには二度と入国できなくなっています。
自由を求めたけれど、それは幻想だったというわけでしょうか。

ホテルの気が利く接客係のガイヤール(良い人!)が通うジムは、サン=マルタン門が見えるフォーブール・サン=マルタン通り。
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中小の商店が並ぶ庶民中の庶民の街です。
ミシェルがかくまってもらう友人の家はセーヌ河に浮かぶボートハウス。
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殺されたデデのアパルトマンも私道の奥まったところ。市井の人々の生活感があふれる舞台です。

ワタクシ、観光も好きですが、地元の生活にも興味があるせいか、まことに見どころでいっぱいの映画でした。
この傾向のため、欧州旅行のお土産に、生活雑貨(紅茶の茶こしとか、調理器具とか、カフェオレボウルとか、ノートとか)を買って、家人に「変なものばかり買って来た」と言われたのでありました。
雑貨専門バイヤーになって、雑貨店経営すればよかったかも。


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(元記事は2013年6月2日に書かれました・エントリー713)
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