TOPスポンサー広告 ≫ 「恐るべき子供たち」1950年フランス製作TOP懐かしドラマ映画 ≫ 「恐るべき子供たち」1950年フランス製作

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comments (-)Trackbacks (-) | スポンサー広告

「恐るべき子供たち」1950年フランス製作

高校時代、萩尾望都ファンだったワタクシは彼女の描いた「恐るべき子供たち」に衝撃を受けた一人でした。
「何じゃー!この物語は何じゃー!だーれが殺したクック・ロービンッ!あ、そーれ♪」
早速ジャン・コクトーの原作を読み、
「何じゃー!この物語は何じゃー!コクトー、狂っとるんちゃうかー!ぱらら~ん♪ぱらりららんら~ん(バッハ、トッカータとフーガで)」
と、まぁ、しばしの間、一人狂騒状態を呈したものでした。

原題「LES ENFANTS TERRIBLES」


フランスの詩人ジャン・コクトーが1929年に書いた小説をジャン=ピエール・メルヴィル監督が映画化。
(なんでも麻薬中毒治療中に書いたとか、伝説には事欠かないコクトー)
コクトーは映画の脚本やナレーションを始め、スタッフの一人としてかなり現場に混乱をもたらしたらしい。
その爪痕というか痕跡は詩人らしいイマジネーションと狂気となって
フィルムの端々に見て取れるが
芸術映画に慣れていないワタクシのような凡人には(あるいは子供)には忍耐と刃を当てられるような感覚があった。

劇場で見たのは18歳の時、関東圏に住んでいた頃、新聞で上映を知って
JR有楽町駅に近い古い映画館へ見に行った。
同時上映が「暗殺の森」だったと思う。

パリの一隅で大人になることを拒む姉弟、エリザベートとポール。
中学生のポールはガキ大将ダルジュロスを慕っているが、彼が投げた石入りの雪玉に当たり気絶。
もともと病気があったらしい。
医者に学校に行くなと言われてダルジュロスに会えなくなるのを嘆くポール。
oso1.png

慰めるエリザベートはずっと二人で部屋にいて、幻想の世界へ行けることを喜ぶが、
oso3.jpg

姉弟には病気の母が居て、貧乏で、幼かった頃のように自由に幻想世界に浸ることが出来ない。
ポールの友のジェラールさえ
最初は二人の部屋に入ったことをエリザベートに怒られるほど、この姉弟は姉によって支配されている。
oso2.jpg

だが、ちょっと待て。
このオッサンな中学生は何だ。
中学生と呼ぶには成長しすぎたポール(正面向いてる方)↓に半端ない違和感を覚えるワタクシ。
oso4.jpg

ちょっと待て。これは拷問、ほとんど拷問じゃないか。耐えるしかないのか!

…耐えました。耐えること60分を過ぎれば
ようやくそれなりの歳になってオッサンのポールに見慣れた頃には
姉弟の幻想世界がすっかり色あせ、残り30分、別の痛みがひしひしと押し寄せる。

しかも、コクトー自身が務めるナレーションが重いし、硬いし、イッテいる!
なんだよ、この演劇!悲劇っぷりは!
自分に酔ってるのか、コクトー!
そうだろ、そうだと言え!コクトー!

ジェラールの金持ち伯父さんの招待で、海辺へ向かう列車のシーンで
エリザベートの精神の咆哮をわざわざ映像化したのは監督メルヴィルなのか
それともコクトーの差し金か。
ワタクシ、ここだけはどーしても分かりません。
何をどうやったら線路上にエリザベートの吠える顔が重なるのか、
このセンスをどう受け止めればいいのか。

さて究極のひきこもり姉弟の前にダルジュロスそっくりの娘アガートが現れ、
oso5.jpg

ポールの恋の病は重症化。
なんたって子供のままですから、少年は残酷です。
アガートを苛めるポール。
ところが、アガートもどうしたことか、ポールに恋煩い。
エリザベートは結婚したのに、すぐ相手が事故死して処女のまま。
彼女にとっては結婚など、子供の遊びのようなもので、
関心はあいかわらずポールに向いている。
そしてポールはアホなので、アガートに差出人も受取人も自分の名前を書いた恋文を出す。
(このへんはちょっと分かるよ、ポール)

ここでエリザベートは憤怒の大魔神化しポールとアガートを騙して、アガートとジェラールを結婚させる。
oso6.jpg

いずれ訪れる悲劇の予感は唐突に現実になります。
懐かしいダルジュロスからの贈り物、それは毒薬。どうやらダルジュロスも少年の心を忘れていないようです。
毒と子供時代の甘く危険な誘惑…。

本格的な悲劇の前にエリザベートの夢のシーンがくっきりと美しい。
混沌とした子供部屋とは違い、静謐な美しさ。
姉弟二人だけのもう一つの世界。
oso8.jpg
oso9.jpg

ここでのナレーションにゾクゾクします。
見事に映画と詩が一致しています。
(しかし、なぜナレーションにタイプライターの音がかぶるのか謎。ポールが死んでるから機械的にしゃべるってこと?
分からん、分からんぞ、コクトー!)

彼らにとって、生も死も富も貧乏もたいした問題ではないのです。
oso10.jpg

この現実の世界とは違う、彼らだけの幻想の世界に生きられるかどうか、それこそが大問題。
ポールはダルジュロスの毒薬によって、幻想へと旅立ち、
エリザベートはそれを受け入れられずに拳銃で自分を撃ちます。
かつて「自殺は罪だ」と書いた鏡の前で。

映画に使われたバッハの「4台のハープシコードのための協奏曲イ短調」
J S Bach 4 Harpsichords Concerto BWV 1065


恐るべき子供たち《IVC BEST SELECTION》 [DVD]恐るべき子供たち《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
(2013/02/22)
ニコル・ステファーヌ、エドゥアール・デルミット 他

商品詳細を見る


恐るべき子どもたち (小学館文庫)恐るべき子どもたち (小学館文庫)
(1997/04)
萩尾 望都

商品詳細を見る


恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)
(2007/02/08)
コクトー

商品詳細を見る


恐るべき子供たち (岩波文庫)恐るべき子供たち (岩波文庫)
(1957/08/06)
コクトー

商品詳細を見る


今回のプラスワン

高校時代に読んだ「恐るべき子供たち」は岩波文庫(当時は生成り色の本体に赤い帯のヤツ)訳は鈴木力衛。
コクトーの文脈はたいへん読みつらくて
「ちくしょう、これが詩人か!」と少々イラついたのは事実です。
正直、漢文の方がマシでした。

近年、古典新訳ブーム(?)のおりに光文社から出たのをちら見しましたが、
最初の印象とは恐ろしいもので、
インプリンティングの力を舐めてもらっては困るとばかり
岩波文庫の文章が脳みそにがっちり食い込んでいるのを感じました。オーマイガッ!

さいわい、ここ2~3年で物忘れが本格的になって
インプリンティングの力は弱まっているようです。
「なるほど、人生50歳から再起動か。」などと都合のいい解釈をして
新しい境地で新訳に挑める日がきたようです。

ただし書店に着いた時点で、新訳文庫のことは忘れているに違いありません。
やっぱりコクトーは苦行です!

(元記事は2013年4月2日に書かれました)
関連記事
スポンサーサイト

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。