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「王妃マルゴ」1994年フランス制作

イギリスではチューダー朝最後の女王エリザベス一世がゴールデンエイジだった頃
日本では豊臣秀吉が天下統一してゴールデン茶室だった頃

フランスでは国内の宗教対立(カトリック対プロテスタント)をどうにかしたかったのです。
当時の感覚では、カトリックとプロテスタントは別の宗教だったといってもいいくらいです。
そこで、ヴァロア王朝の王妹マルゴ(カトリック代表)と
フランスの地方王国ナヴァールの王アンリ・ド・ブルボン(プロテスタント代表)の政略結婚↓に踏み切るわけです。
la reine margot

地元フランスでは有名な話で、
日本なら信長&秀吉&家康のエピソード群に当たります。
フランスで今も人気のある王さまといえば、アンリ4世こと、アンリ・ド・ブルボン。
「良王アンリ」「大アンリ」と呼ばれています。
宗教内乱で疲弊した国を立て直すため、たいへん頑張った人です。
ゆえに錯綜する人間関係と陰謀術数の多さをメモして頭に入れておけば、
フランス人同様に「おおー、これよ、これ!」と
慣れ親しんだ物語のように楽しめますが、日本では「ベルばら」ほど知られてない。
「マルグリット・ド・ヴァロワ 結婚 ノートルダム寺院」のネット検索で、けっこう解説サイトが出てきます。 

アレクサンドル・デュマの小説を元にした「王妃マルゴ」は画面の80%が薄暗さと赤い血で覆われた歴史映画。

映画館なら大丈夫だけど、TVで観るにはちょっとツライ暗さです。こんな感じ↓
867d782b.jpg

16世紀後半のパリには、ルーブル宮殿とチュイルリー宮殿の原型も完成したノートルダム寺院もありましたが、
光源は太陽とロウソクとタイマツだけ。
街路は狭く不衛生で、映画は路上に糞尿そこありませんが、そのムードがむんむんとしているわけで、
「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」の対極にある暗さです。
それくらい真剣に歴史映画となっています。
(ちなみに三銃士のルイ13世はアンリ4世の息子)

陽光の下でも画面はどこか暗め。マルゴは中央の黒髪の美女↓
ma1.jpg

その美しさはマルゴが政治的に翻弄される王女の立場ゆえに、
せめて夫(愛情はないけど友情はある)の命や恋人ラ・モールの命を守り、病弱な兄王シャルル9世の支えになろうと
身を張っている姿にぴったりです。
しかし、それ以上に男を惑わす妖婦の美しさですね。
イザベル・アジャーニ演じるマルゴだけはたいへん色が白くて暗い画面の中でくっきり映えます。
終盤で彼女は結婚時までに兄弟達によって近親相姦になったと分かります。
(弟が「姉上が産まず女で良かった」と衝撃発言!)
初夜を恋人ギーズ公アンリと過ごそうとしたけど振られたので、
パリの路上で追剥ぎに合っていたラ・モールと行きずり情事で燃え上がるほど、淫蕩な女。
(ラ・モール伯爵とココナス伯爵は実在の人ですが、アレクサンドル・デュマの創作も入っているようです)
それは孤独のなせる業なのか、もともと淫蕩なのか、
王女の身分に反抗しているのか。

さて、ノートルダム寺院での結婚式は当時の美術が再現されており、たいへん荘厳です。
結婚の宣誓にマルゴが「ウィ」と返事をしないので、

後ろから兄シャルルが突進して妹の首を押さえつけるという無理やりさ。
披露宴がすでに殺気に満ちていて、命の危険を感じたアンリ・ド・ブルボンは、
嫁のマルゴに味方になってくれと頼み、
彼女もさすがにそれは承諾します。
ギーズ公アンリとの恋路を断ち切った母カトリーヌ・ド・メディチや王権そのものへの反抗心でもあるようです。
カトリーヌを演じるヴィルナ・リージの異様な迫力。彼女の怪演で映画の陰惨さに磨きがかかっています↓
ma2.jpg

結婚式の数日後、サンバルテルミーの虐殺事件が起こります。
宗教対立が収まるどころか、マルゴの兄王シャルル9世のひ弱さが引き金になり、
カトリックによるプロテスタント殺しが延々と続きます。
結婚を祝うためにパリに集まった数千人のプロテスタントの累々たる死体…。
王宮も宿も街路も、血と死体で埋まり、なんだか画面から死臭が漂いそうなほど悲惨なシーンの数々。
「これ、映画だから」と平気でいられるようなレベルを越えています。
汚し方の迫力がすごすぎる。
死体だらけの中庭で死闘するラ・モールとココナス↓これはまだ綺麗な方ですね
400full.jpg

政略結婚だったとはいえ、自分の結婚を祝った人々が殺され、
マルゴはますます母や兄弟との溝を深くし、ラ・モールとの逢瀬を重ねます。
reine1.jpg
「何者でもないあなたを愛する」と言った彼といる時だけ、
マルゴは王妃でも王女でもない女になれるのでした。

アレクサンドル・デュマの凄いところは、ラ・モールが質入れした本がシャルル9世暗殺犯のものにされ、
彼が処刑される原因になるという虚構を作り上げた点ですね。
追剥ぎにあった彼に、たった一つ残った本を拾って手渡すのはマルゴでしたから、
ちゃんと「男を破滅させる女」の役割も果たさせているわけです。

最後にマルゴはラ・モールの首を血まみれドレスに抱いて、ナヴァールにいる夫の元へ旅立ちます。
これはサロメのイメージを被せているシーンです。

ここだけ朝日の淡い陽が射します。
美貌も才智もありながら、男を破滅させるマルゴの薄幸を表すかのような光。
tumblr_lw2bmoBkuo1qzkgzqo1_500.jpg
何度か見直して、やっと隅々まで堪能できるようになりました。



そういえば、新郎アンリの愛人役でアーシア・アルジェントが出演していたなぁ。
「サスぺリア」の監督ダリオ・アンジェントの娘。
彼女はソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」でデュ・バリー夫人を演じてたなぁ。
「王妃マルゴ」では毒殺された上に窓から投げ捨てられて、哀れだった。

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↑フランソワ・バイルー「アンリ4世」はなかなか読みごたえあります。時系列がばらけた書き方で、そこはフランスっぽい(?)
一方、萩尾望都「王妃マルゴ」は、複雑な政治&人物背景をまとめ上げた漫画ならではの描写がすごい。マルゴの思春期がすごく気になります。

今回のプラスワン

物心ついた頃から、純和風の古い我が家のとある柱に華奢なアイアン製手紙入れがかかっていて、
それには凱旋門の絵が付いていたのでした。
その絵はさらっと描かれた小さなものでしたが、空に雲がうねり、ちょっと不思議なムードでした。
凱旋門が何のための建築物か知らなかったけど、
子供心に「フランスのパリにはこういう不思議なものがある」ことだけはしっかり刻まれたのでした。

小学生を卒業するまでの半年間は「ベルサイユのばら」にハマりました。
学校の図書室で本を漁ってみるけど、40年も前の田舎の木造小学校、
フランス革命に関する本などない。
中学も同様で、歴史の断片をかじるだけの3年間でした。
 
高校で世界史を選択したことで、バラバラだった断片がようやくつながり始めました。
きっと歴史好きに生まれたのでしょう。
私の場合、つながった断片は次の断片を生むことになるのです。

今も断片がつながる瞬間を求めて「北の十字軍」や「アンリ4世 自由を求めた王」を
ネットでポチリと買ってしまいます。
(つい先日も町の図書館で佐藤賢一「黒王妃」を見つけて速攻読み…)
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