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「ピアノ・レッスン」1993年公開 仏・ニュージーランド・オーストラリア合作

撮影が美しい。
その美しさはヒロイン・エイダの激しい自我の背景にふさわしい。
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これ、恋愛映画かと思ったら、全然違いました。
邦訳タイトルが「ピアノ・レッスン」なので、
べインズにピアノのレッスンするあいだに彼と惹かれあってしまう話かと思いがちですが、
原題は「The Piano」
つまり、ピアノ=エイダであり、これは彼女の物語だと示しています。
エイダをめぐる二人の男は、本来は脇役なのです。

たいへんエキセントリックにも見えるエイダ。
生来の聾啞者でなく、自分の意志で言葉を発しなくなり、ピアノを弾くことが言葉代わりで、
10歳の娘を抱えたシングルマザー。
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1800年代後半のイギリス社会では、とにかく体裁が悪い。
彼女の父親の手によって、望まぬ結婚のためニュージーランドまで娘とともに旅をしてきた。
分身ともいえる一台のピアノと共に。
ところが、結婚相手の開拓者、スチュアートはピアノが重いという理由でピアノを海岸に置き去りにする。

ここで、この結婚には困難がつきまとう、と分かる。
海岸の波打ち際に佇む荷造りされたままのピアノ。
それは孤高のエイダ自身であり、
外界に出ようとしない彼女の心象風景でもある。
しかし、ピアノに波が押し寄せるように、エイダに変化の波が寄ってくる。
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ピアノをスチュアートから買い取り、エイダにピアノを習いたいという男がいた。
開拓者仲間のべインズ。
原住民のマオリ族のように入れ墨をした野性的な男だ。
エイダが海岸のピアノを弾き、彼は彼女の初めての笑顔を見た。
誰にも見せないような笑顔。


こうして、やっと恋愛ものっぽくなるけれど、やはり主軸はエイダの物語だ。
それはラストシーンの凄さに現れる。
喜びと明るい映像から一転して海中に沈んだピアノと彼女の分身が映し出される。
そこに流れるモノローグには
エイダの激しい自我が隠されている。
そこには己を滅ぼしかねない強烈さがある。
彼女は魂に潜む自我の重い塊りと心の解放の間に立ち続けるのだ。

とても恐ろしいシーンだが、忘れられない。
これがないとエイダがただの変わり者の物語で終わってしまうだろう。

マイケル・ノイマンの音楽も、ニュージーランドの風景も、新鮮でたまらない。
子役のアンナ・パキンがむっちゃ名優で、
これはジェディー・フォスターの再来かと思ったくらい。
なんといっても
エイダの生来の気質が時に孤独を選び、時に他者を受け入れるさまが、たいへん愛おしい。
そうですね、
たいへん愛おしい映画です。

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子供の時にピアノ習ったけれど、手が小さくてどうにもならなかった…。
だいたい白人の大人の男が作曲家なら、そのサイズで弾くように作曲するだろー!と、
大人になってから、しみじみ思ったラフマニノフの楽譜。
一オクターブになんとか親指と小指が届くような手では、どうにもならなかったです。

ピアノの先生のお宅では、待ち時間に漫画雑誌を読んでいました。
「聖マッスル」を偶然読んでしまって、美と醜の極致を体験したのも、この頃です。
そして、ピアノの先生は、先年亡くなったオランダ女優シルビア・クリステルを小柄にしたような
可愛いエロスをたたえた方でした。
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「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」1980年アメリカ製作

とめどなく広がるスター・ウォーズ世界。
本家本元の映画6作品のうちで、これが一番好きかもしれない。

なぜならばっ!
渾身のオプティカル合成をやり遂げた雪と氷の惑星・ホスのシーン見たさに6回も映画館へ行ってしまったからです。
デジタル合成のデの字もない頃、白マット撮影に挑戦した技術スタッフの執念がスクリーンに溢れまくり。
こういう心意気にはシビれてしまう。
フィルムで0・01mmのずれが、スクリーンでは10cmのズレに拡大されるという困難を乗り越え、
素晴らしい戦闘シーンを作り上げていました。

これよっ!これこれっ↓
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st3.jpg

封切り当時は関東圏に住んでいたので、帰省の途中、東京・有楽町の古い日劇で観ました。
大きなスクリーンでした。
ホスの戦いではAT-ATに注目が集まっていますが、私は同盟軍の輸送艦の青い噴射光も大好き。
ルークが雪原を撤退しながら、脱出する輸送艦を振り返るシーンがあります。
こんな何気ないシーンがあるから「帝国の逆襲」が好きなのかもしれません。

全体的なバランスがとてもいいのです。
氷の惑星、宇宙空間と小惑星群、密林の惑星、雲間の空中都市、最後に同盟軍艦隊と銀河。
人物配置もいい。
同盟軍の中の3人組、孤独に暮らすヨーダ、いかにも怪しいカルリシアン、賞金稼ぎボバ・フェット。
その上にジェダイ騎士の修業(哲学的っすね)や
帝国皇帝、ダースベイダーの秘密を垣間見る構成がきれいに乗って、
世界観の広がりがとても気持ちよかったですね。
その安定感があるから、ベイダー卿の「ワシがお前のとーちゃんだ」衝撃が映えるのですね。

息子の手首を切り落す真っ黒なとーちゃんが怖いよう。
宇宙の虚空を眺めながらルークに呼びかけるとーちゃんが怖いよう。
それに反応して、逃げまくるファルコン号の中で「とーちゃん」と呟くルークが怖いよう。
(冷凍されたハン・ソロのことなど、忘れ去っている私…)

↓ヨーダの出てこない予告編


謎解きは次回のお楽しみということで、あっさり幕引きされても
ここまで魅力的な世界観と古典的な親子物語を提示されたら
あとは期待感MAXで上りっぱなしですから、映画自体に不満も失望もありません。
すごく気持ちいいから何度でも観に行ったわけです。
(一種の中毒状態だったのかもしれない)

しかし、3年後「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」…なんだ、これ…。
…この熊の大群は…。
…この老けたルークに半裸のレイア姫は…。
…皇帝に喰われてしまっているベイダー卿は…。

「俺は熊の大群を観るために映画館まで来たんじゃないっ!ちくしょおっ!人間の物語をかえせええええぇぇぇっっ!(号泣)」
ホントーに失望感MAXでしたね。

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関東圏への往復、それは島国日本の中の島国・四国の住人にとって海を越える大旅行でした。
若者にとって飛行機は贅沢でした。
残るはオーシャン東九フェリーの2等客室か、阪神フェリーで神戸か大阪に出て新幹線。
しかし、新幹線は高い!
そこで夜行の寝台特急をよく使いました。ブルートレインというヤツです。
列車の名は「瀬戸」。
東京駅を夜の8時くらいに出ると、岡山県の宇野港に朝の5時半くらいに着いて宇高連絡船で海を渡る。
香川県の高松駅へ接岸したら、そこが終着駅です。
そこから高徳線で徳島駅まで帰るわけです。
 
ブルートレインはほとんど姿を消しました。
しかし、「瀬戸」は名を「サンライズ瀬戸」と変えて、
唯一の東京駅発着で大阪駅以西を運転する寝台列車として走っています。
現在JR4社(東日本・東海・西日本・四国)の区間を跨いで運行する唯一の列車でもあります。
 
関東圏へ行くのは数年に一度で、日程を考えるとどうしても飛行機になります。
サンライズ瀬戸に乗るチャンスがあるかどうか分かりませんが、
寝台特急の旅は捨てがたいものがあります。
フェリーも、船底の独特の香りがする車置き場から階段を昇る時間がなんだか忘れがたい。

「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」を観たあと、ブルートレイン「瀬戸」で帰ったものの
濃霧で連絡船が出航せず、3時間待ちました。
現在は宇高連絡船はなくなりましたが、四国フェリーががんばっています。

「宮廷料理人ヴァテール」2000年公開仏・ベルギー・英合作

忙しい映画だ。始まった時からてんやわんやである。
開始5分で数キロに及ぶ立派な馬車の列を見たら今度は映画の製作費が心配になる。
(フランス映画では、過去最高40億円)
しかし心配している暇はない。
ここで映像とセリフをしっかり追っていないと、この先の人物相関図が描けないうえに、
シチュエーションがさっぱり分からない仕掛けになっている。
けっこう集中力が試されます。
実在した人物、フランソワ・ヴァテールの最期の3日間を豪華絢爛に描いた歴史映画、原題・Vatel。

おそらく音楽(特に後半のアディエマス)を入れ替えたと思われるDVD収録の予告編
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宮廷料理人というより、饗宴の企画立案・総監督・総指揮をするのがヴァテール。
したがって、総責任者です。
精神は誇り高く、仕事は妥協なく、主人と決めたコンデ公ルイ2世にのみ忠誠を捧げるヴァテール。
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演じているのはジェラール・ドパルビュー。近年フランス政府が打ち出した超富裕層への超課税率に反対して、現在ロシア国籍取得というツワモノです。

コンデ公ルイ2世は役職復帰(もともと勇猛果敢な将軍)のため、シャンティイ城にルイ14世を迎えて大饗宴を開く。
痛風の持病を抱えたコンデ公ですが、なんのその。
ヴァテールの采配を信頼して、お任せ状態というより丸投げ状態。
そこにベルサイユから、宮廷が丸ごと移動してくると
怪しい人も一緒に来てしまうわけです。王の弟フィリップと取り巻き達
(ヴァテールの弟子を小姓に欲しがる等、困らせまくる)↓
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王から見向きもされなくなった王妃に仕える女官、麗しのアンヌ・ド・モントージェと
彼女に嫌われている野心家のローザン侯爵(鶏冠のようなカツラ着用)↓
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フランス太陽王ルイ14世のための饗宴シーンは人力を駆使してて、おもしろいです↓


しかし、おもしろいだけでないのが宮廷で、
3日間の饗宴の裏には野望と死と絶望が激しく展開する映画前半。

さて、ヴァテールと惹かれあったアンヌ・ド・モントージェが饗宴1日目の夜に王の夜伽を務める。
この栄誉はいつまで続くのか。ヴァテールに惹かれる一方で権力も魅力的だ。
ユマ・サーマンが美しい、清々しい美しさとはうらはらに揺れ動く女心。

何もかもが凄まじく盛り沢山です。
料理の量が半端ない。
質も極上を感じさせる画面だし、思わず生唾を飲みそうになる。
コンデ公は王家の傍流だけに城も調度も素晴らしい。
人もひしめき合う。
王の公妾(公に愛人制度があった)、大臣達、その秘書、その侍従、その侍女、入り乱れる人間関係。
コンデ公の城の使用人もスゴイ数で、近隣の村から臨時動員。
そこに納入業者が借金取りに来るわ、
花火に驚いた馬が暴走して死人が出るわ、
コンデ公の痛風が悪化して侍医が走り回るわ、と
忙しいエピソード満載。

画面の密度が高い、マジで高い。モノがぎっしり映り込んでいる。
饗宴シーンはたいへんを通り越している。

しかし、この話はコメディではないのです。
後半になればなるほど、痛々しいムードが漂う。
結局ヴァテールは自刃して果てるのだが、その原因を彼の誇り高さだけでなく、
架空の女性アンヌ・ド・モントージェを介して
巨大権力に振り回される奴隷のような自分の姿に絶望する過程が浮き出る仕掛けになっています。
その辺は現代人には簡単には理解しにくく、
また簡単に共感も納得もしえない世界です。

だから時々見返したくなります。
命と引き換えにするほどのヴァテールの価値感、あるいは誇りとはどのようなものだったのか。
この辺が欧州映画とつきあう難しさでもあり、おもしろさでもあるのです。


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美味しいものが好きっ!

私は決して食いしん坊ではありません。
大食できません。
疲労が貯まると、すぐに胃に来ます、吐きます。
よく効く鎮痛剤を飲むと、胃が荒れます。
かつてはコーヒー一杯で胸やけを起こしていました。
 
我が家の食生活は祖母の方針で「ほぼ間食禁止」、
めったにおやつのない子供時代でした。
甘いものといえば、幼稚園で飲むヤクルトの味しか知らなかったし、
チョコレートは年に2回の遠足だけ。
代わりに酸っぱい八朔がゴロゴロしていました。
ご馳走は魚の干物やコンビーフの缶詰、祭りの巻き寿司でした。
 
母の買う婦人雑誌の料理ページのグラタンに憧れていました。
グラタンはオーブンなしでは作れないと知って落胆したものです。
高校生の時、やっと家にオーブンが来ました。
他の電機製品と併用するとよくブレーカーが落ちました。
とほほでした。
 
料理のシーンで「ああ~、美味しそう」とワクワクするのは
こうした成長期の食事情が無関係ではないと思います。
これからも映画の中の料理からは目が離せないでしょう。

「伝説巨神イデオン 接触篇・発動篇」1982年公開日本アニメ

ああ、もう、何て言ったらいいのか。私のどん底2年間を支えてくれた物語。
ヘンな方向に頑張りすぎた高校時代を抜けたら挫折の時期が待っていた。
心身ともに病気で大学中退、
帰郷して予備校通いを始めたものの、拒食症に近い状態で体重がどんどん落ちる。
全然ありがたくないダイエットだ。
そんな時に出会ったTVアニメが「伝説巨神イデオン」だった。これはツライ物語だ。ツライ時期にツライ話を見るとは…。
明るくアグレッシブな話が毒になる季節もあるのです。

劇場版イデオン 予告



地球人が遠い移民星で別の人類・バッフクランと不幸な出会いをする。
一回の発砲がとめどない戦いへと転がり、移民星の遺跡からイデが目覚める。
無限の力を持つイデ。
最初は地球人の防衛本能に反応して力を出しているだけだったが、次第に自我を持ち始める。
イデは二つの人類が戦いをやめないので、滅ぼすことにした。
移民星から脱出した人々はただ生き延びたいだけだったが、イデに憑りつかれて全員が死ぬまで戦い続けるという、
呪わしく恐ろしい物語だ。

湖川友謙氏のキャラクターデザインが素晴らしかった。
骨格がバン!と浮き出るデッサン力に一目惚れをした。
富野由悠季(当時は富野喜幸)監督を筆頭に、スタッフが次第にこの物語を必死で描いているのを感じられた。
各話がとてもよくできたドラマで、
ほんの一言のセリフ、ちょっとした仕草まで、
見逃せないドラマになっている。
ところが、あと4話を残すところで、打ち切りになったのだ。
その4話分が発動篇になった。
接触篇はTV32話までを再編集したものだ。
TV版とは微妙にニュアンスが違う。
TVよりキャラクターがまったりしている。
そのまま発動篇へと繋ぐ構成なので、物語前半のヒステリックなフォルモッサ・シェリルや
すぐに熱くなるユウキ・コスモがすでに成長して落ち着いているためかもしれない。



発動篇は圧倒的な執念の映像だ。
画面からはスタッフがTV打ち切りの無念を込め、心血を注いだオーラが放出されていた。
私は言葉を失う。
次々と死んでいくキャラクター達。
死がショックなのではない。
絶命するまでの彼らの生き方が不器用で懸命でとても必死だったので、それに圧倒される。
脇キャラさえ死の悼みを感じる。
例えば閃光に消えてしまうベントやソロシップの操縦に徹したハタリ。
機関室で失血死するジョリバ。
メインキャラはもっと凄まじい。
いち早くイデが何者かを知ったシェリルは彼女なりにあらがったのだろう。
精神の均衡を失って初めて彼女はイデに直接呼びかける。イデは聞く耳を持たないから、彼女は死ぬ。
イデが欲しかったのは、異星人の壁を超えて結ばれたべスとカララの赤ちゃん(まだ胎児)だけだ。
だからカララは彼女を恨む姉のハルルに顔面を撃たれて死ぬし、
ハルルは恋人の死を恨みながら、コスモが狙った波動ガンで死ぬ。
コスモに初めて女らしさを見せ、「(キス)しよ!」と求めたカーシャもキス出来ないまま死ぬ。
カララとハルルの父、ドバ・アジバも業の深さを見せつけてから死ぬ。
コスモは、死の瞬間でさえ、
イデに逆らい、闘志を宿したままだった。

だが、物語はここで終わらない。
映画だからこそ表現可能であったシーンがこのあと続く。
宇宙空間に死んだ人々の魂が飛び交う。
全裸である。
不思議な温かいシーン。
彼らはもう恨み言も憎しみも持たない。死に別れた人の魂と再会し、喜びにあふれる。
無数の光になった魂は新しい生命になるために旅立っていく。
これを鬱エンドというだろうか。
否だ。
確かに凄惨な物語だが、簡単に鬱エンドと切って捨ててはいけない。
コスモは飛翔しながら、キッチ・キッチンに「幸せになろうな!」と呼びかける。
キッチンは「当り前じゃない、損しちゃうもの。」と返す。これが映画での最後のセリフだ。
観た当時は、なんという遅すぎる言葉だろうと思った。
今は違う。
人は幸せになるために生きていて、しばしば死にもの狂いになる必要が実感としてある。
絶命するコスモは絵コンテで「ぐちゃぐちゃになっていく」と書かれているが
そんなぐちゃぐちゃな時間が誰にもあるはず。
(見せない人も自分で気づかない人もいるけどね)
それなりに山あり谷ありの経験をすると、
私にとってイデオンはよく効くカンフル剤となっている。
迷っているときに見ると、正気に戻る。
「死んで花実が咲くものか!」
またある時は「死ぬ気になればやれる!」
こんな時もある「これが死後の世界なら、恐れずに生きられる」
私の生まれついてのメランコリックは相変わらずだが、人生観はそんな風に変化した。
人間、時間はかかるが、変われるものだ。

年に一回は発動篇を見返す。
すぎやまこういち作曲の「カンタータ・オルビス」が流れ始めると、私は涙が止まらない。
若い時には流せなかった涙だ。
最近は観ていてコスモ君がかわいい。かわいくて仕方がない。彼の頑固なまでの生命力に励まされています。



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↑この本はすごくいいです。富野監督へのインタビューは他に類を見ないほど充実しています。

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あー、長いなぁ。早く終わろう。
群像劇でもあるイデオンの中で、最もお気に入りのキャラはフォルモッサ・シェリル。
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言語学者の卵ゆえのプライドが厳しい感じを醸し出すが、ごく普通の女性で、傷つきやすい人というのがすぐに分かる。
TV版で遺跡を再現したメカを見て爆笑する軍人べスを張り倒すのは、
自分達の仕事を認めない態度に腹が立つからです。
マジメに見て欲しいのに、
べスの感性はインテリジェンスに対しては、がさつなのであります。
戦闘状態に陥ってからは、
生き延びるために否応なしにメインクルーとして軍人達の中で、たった一人の民間人なのに、素人ながら異星人の取り調べまでしなくてはならない。
これでヒステリーを起こすなというのが無理な話だ。
不幸なことに彼女のヒステリーは視聴者にも歓迎されなかった。シェリルさんの二重の不幸です。

カララのように武人でもなく、カーシャほど男勝りでもなく
ロッタほど強くもなく、また妹のリンほども寛容でなく、ラポーほど母性的でもない。
弱さを見せまいともがく知性の人、シェリルさん。

「もう一人の自分」を見るようで、遠くなった若い頃の想い出の人です。

「未来惑星ザルドス」1974年イギリス製作

ディストピアは人間の生と死、セックス、さらに人間の存在意義&価値をダイレクトに問うのに適した舞台なのかもしれない。

「未来惑星ザルドス」(原題・Zardoz)はステキな映画だ。
ふんぷんたるチープさを振りまきながらも、やろうと思えば超低予算でここまでやれるんだぜ!という
気概がある。そのおもしろさは観なければ分からない。
「美(神)は細部に宿る」とはドイツの建築家ミース・ファンデルローエの名言だが、
この映画も細部に配したエッセンスが謎の感動を呼ぶ仕掛けになっているからだ。

最初の掴みが圧巻だ。
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こんなもの↑が空を飛んできて、口から大量の銃器を撒き散らす。
これがザルドスだ。
ギリシャ悲劇の仮面に酷似しているが、この像は嘆いていない、怒っている。
ザルドスは言う、「銃は増え続ける獣人を殺し清める善きもの。性は悪である。」
しょっぱなから殺戮と暴力の色濃い末世に愕然としつつ、掴まれたら最後、見届けるしかない。

初見は高校生だった。ベートーベンの第7交響曲もこの映画で出会った。
半分くらいしか意味が分からないが、強烈だった。
ディストピアを支配するボルテックスの人々も不死であることに飽いて無気力人になったり、
システムに反逆して加齢刑を受けて老人の姿のまま生き続けたり、
ここのユートピアは楽ではない。
なぜなら人間性は不変不死と相いれないからだ。
ディストピアで獣人を殺しまくっていたゼッド役・ショーン・コネリーの毛深く逞しい裸体。
ボルテックスに侵入した彼の存在は不死人達に変化をもたらす。

説明しがたい映像だらけ。
za2.png
不死人に捕えられたゼッドが記憶を調べられる場所では
なぜか裸体の女達がガラスの向こう側で水に濡れながら浮遊している。

不死人達はおっぱい見えそうで見えないボレロだけ着て、へそ出し。
ベルトは股間をかくすようなデザインで、サイケデリックな色彩だ↓
za3.jpg

建物はイギリスの上品なマナーハウスなのに巨大風船がくっ付いていたり、
鏡のピラミッドが芝の上にあったり、
調和が崩れている。
健やかでないことがよく分かるが、その意味を問う暇はない。
映画自体に哲学的な寓意が込められているから、そちらの意味を問うので忙しい。

この年齢になって観ると、とてもおもしろい。新鮮で謎に満ちた名作だ。
そしてシャーロット・ランプリングが素敵だ。
za4.jpg
この映画で彼女を知った。
イギリス出身の彼女はお気に入りの女優の一人。
それからゼッド役のショーン・コネリーもエジンバラ出身。
この二人が並んでスクリーンに映ると、なんともクラシックでセクシーで淫猥なムードになる。

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ラストはベートーベンの第7交響曲第2楽章、別名「葬送行進曲風」が流れる。
ここでこれを使うとは卑怯なり、監督ジョン・ブアマン。
話にマッチしすぎて、涙腺が決壊する。


今回のプラスワン

この映画のキーになるのが「オズの魔法使い」。
未読でございます。
よく記憶の混同を起こして「不思議の国のアリス」と間違ったりもします。
そろそろ脳トレをした方が良いのかもしれません。

高校では現代国語と古典の時間に「文学史」を叩き込む熱血女教師のお世話になり、
読んでもいないのにタイトルだけ知っている文学作品を
大量にストックした時期でした。
熱血女教師は未熟な高校生をわりと一人前に扱ってくれましたので、
山岸凉子の漫画を貸したり、瀬戸内寂聴の「中世炎上」を読んで感想を言い合ったりと
楽しいお付き合いが出来ました。

そのわりには、その後文学よりはノンフィクションや学術、推理・SF小説の方へ傾いてしまい、
(何より漫画の読み過ぎ)
特に日本文学からは遠ざかってしまいました。
映画を観る時に、こうした教養(死語になりませんように)があれば
「ああっ、今のセリフが意味不明ぽいけど、何かの引用????」と悔しがらずにいられるのにっ。

最近、老眼が進み、もともと近視で乱視の眼が疲れやすくなりました。
ロングスリーパー傾向もあるため、
夜更けまでの読書をすると翌日が地獄です。
読んでもいないのにタイトルだけ知っている本が減る可能性は限りなく低く、
かわりに書きたい小説のために
植民地時代の航海日誌や天文史など、科学史分野の本を漁っている今日この頃です。

「花の詩女 ゴティックメード」2012年11月公開永野アニメ

いきなり今世紀!しかも直近!観たのは今年(2013年)の1月25日でございます。
鉄は熱いうちに打て!

全編が永野護テイストで埋め尽くされた、ファンにとっては至福の映画。
永野護の、永野護による、永野護(と、そのファン)のための映画です。



ところで、「永野護って誰やねん」という方へ。
1986年に連載開始、単行本は累計850万部を数えるSFファンタジー(おとぎ話)漫画『ファイブスター物語』
通称『F.S.S.』の創作者、つまり創造神。
彼は『F.S.S.』の主人公にして狂言回しの光の神、アマテラスそのものと言える。
ゆえに彼が最初に設定した年表以外は、情熱と嗜好と遊び心でやりたい放題(主に残酷と優しさの極端さで)描いている。
それは誰も真似できないデザイン力に支えられ、独特どころか、ぶっ飛んだモノになっている。

このロボットを見てください。
got1.jpg

これがロボット?と疑った方、多いはずです。
ロボットに見えませんが、実はロボットです。ゴティックメード・カイゼリン、「氷の女皇帝」です。
(くううううっっっ!かっこいい、かっこよすぎるぜ!)

そういうトンデモな人物が、原作・監督・脚本・絵コンテ・原画・レイアウト・全デザインをやってのけた映画。
金太郎飴のように、どこをどう切り取っても、永野護!
製作発表から公開まで6年、その間『F.S.S.』は休止。
しかし、永野ファンはめげない。辛抱強いのです。
創造神ですから、文句言っても仕方ないのを知っているのです。

詩女(うため)のイメージボード↓ほとんどファッションショー(それが醍醐味でもあります)。
gt.png

物語は完璧にボーイ・ミーツ・ガール、いたって素直、オーソドックスな話でございます。
ただ、もう、世界観やギミックへのこだわりはもの凄い。
そして、映像になってはっきり分かる永野護の意外な一面が現れる。
それは「詩情」。
漫画では、手抜きかと思った数ページに及ぶシルエットとセリフのみのシーンがそれに近かった。
映画ではとても長い背景静止のシーン。
一つは数え歌を詠いながら、花の種を撒く詩女・べリン。
彼女は宙を舞うようにゆっくりと踊りながら、種を撒く。
その腕はバレエのポール・ド・ブラのようだ。
謎の追跡者の飛行物体がステルス編隊発進シーンもとにかく長いワンシーン。
意味を見出すより、メカニックの詩情が漂う。
そしてエンディング・テロップの都へと続く乾いた大地のシーンに種が舞うシーン。
テロップが終わると花の道が現れる。
タイトルの「花の詩女」の物語の終わりに流れる詩情は美しかった。

が!油断大敵!!

ここから先は永野の大暴走が始まる。
ファンの目から見れば、映画がどこかで『F.S.S.』と繋がっているのはメカとコスチュームで一目瞭然なのだが、
あからさまに踊るファティマ(『F.S.S.』に多数登場する美少女型コンピューター)の姿を見せられると
「ホンマに神のやることは超越してるわ」とにんまりするしかない。
とどめはスクリーンの中で振り返ったドナウ帝国皇帝のお顔が、永野護ご本人…このシーンが静止画でまた長いのなんのって…。
(キャラはドナウ帝国皇子トリハロンですが、ニュアンス、まさにこんな感じ↓)
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客席からもれる忍び笑い…。しかし、彼のやりたい放題を見て、ファンは満足して席を立つのでありました。

4k技術を映像に取り入れたらしく、たとえBDになっても一般家庭では劇場の臨場感を味わえない…。
せめて関連の品を並べてみましょう。

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川村万梨阿

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音楽も、詩女べリンの声優川村万梨阿さんの声も、透明感あふれる美しさです。

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(2008/09/25)
永野 護

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永野センセー、本当にクリスティン・V(表紙の美少女)が好きなのだなぁ…。

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(2014/03/07)
永野 護

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↑「カーテンをめくってもまだその奥がある」どこかの帝国のような内容です。

今回のプラスワン

私は映画館で見る場合、主に徳島市内の映画館で見ていました。
学生時代は徳島ホール、徳島松竹、徳島東映、平和ドルビーなどでしたが、
これらの館は全て消えてしまいました。
巨大シネコンが徳島市外に出来ると、駐車料無料ですから当然お客さんはそっちへ流れてしまったのです。
都会と違って、完全に自家用車社会です。
私の居住地域では公共交通機関が一切ありません。
バスに乗ろうにも、路線のあるところまで自転車で30分、歩くと一時間以上です。
そういうわけで駐車料金があるとないとでは大違い!ガソリン代もバカにならない。

最近になって、ufotable CINEMA(ユーフォーテーブル・シネマ)が徳島市内でアニメ中心の映画館経営を始め、
そのおかげで「花の詩女 ゴティックメード」を観ることができました。
昨年11月の時点では、一番近い公開劇場が兵庫県神戸市でした。
海を越えなくてはなりません。
事情がどうしても許さなくて、涙を呑んで諦めていたところ、地元での上映が決まって感激したものです。
ありがとう!ufotable CINEMA!

しかし、この映画館、周辺の駐車場と契約してない…。
恐る恐るコインパーキングの清算をすると、漱石が吹っ飛んでいきました。
念願の永野映像を堪能したのだからあまり文句いっちゃあいけねえ、と思いつつも、企業努力を期待したいです。
出来たてほやほやで綺麗な映画館だし、リピーターを増やすためにも頑張ってほしいです。

「アンナ・パブロワ」1984年ソ連・イギリス合作

20世紀初頭に世界中にバレエを広めた意志と情熱のロシアのバレリーナ、
アンナ・パブロワの熱烈伝記映画。

たいへん美しい映画です。
まず冒頭のロシア、林の中の川を幼いアンナが艀に乗って流れていくシーン。
バラライカの音色とマッチして、やがてロシアを離れるアンナの運命を暗示するシーン。
これが息を飲むほど美しい。そして、哀しい。

ソ連が世界に誇るバレエ団、モスクワのボリショイバレエと
レニングラード(現サンクトペテルブルグ)のレニングラードバレエ団(現マリインスキーバレエ団)が協力しているうえに、
パブロワを演じるガリーナ・ベリャーエワもバレエダンサー出身の俳優ゆえに
バレエシーンはたいへん見応えがあります。

アンナにジゼルの振付けをするプティパ
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そのバレエシーンを彩る音楽が激しい…。
パブロワの代名詞でもあった『瀕死の白鳥』の音楽は、
サン=サーンスの『動物の謝肉祭』の中の『白鳥』です。
これはピアノ伴奏によるチェロ独奏なのに、
この映画ではフルオーケストラ、編曲も激しく大げさ。
ニューヨークでの『白鳥の湖』では2幕の最後に女性コーラスまで入っているので、たいへん劇的。
それがパブロワの情熱を現しているといえるし、何より当時はまだソ連…。
大げさ過ぎるくらいがちょうどいい。

この映画は当時の著名人が惜しみなく現れる。
偉大な振付師・プティパ、天才ダンサー・ヴァツラフ・ニジンスキー、
辣腕興行師・ティアギレフ(彼がプティパを退屈でつまらないと罵倒するくせに「ジゼル」を見て号泣するシーンがある)、
作曲家サン=サーンスにストラヴィンスキー(ストラ、そっくりでびっくり!)、
ドイツ皇帝、
そして『瀕死の白鳥』を創作したミハイル・フォーキン。

さらに衣装が素晴らしい。惜しみなく第一次世界大戦前後のモード全開!
これが目の保養でなくてなんなのだ!
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当時のバレエ衣装も忠実に再現されています。
チュチュはかなり短くなってはいるが、チュールの上に、もっさもっさとサテン・ジョーゼット・オーガンジーが載っていて、
時代を感じます。
バレエ好きにはたまらない映画でしょう。


世界ツアー・メキシコのシーン



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(2008/03/19)
ガリーナ・ベリャーエワ、セルゲイ・シャクーロフ 他

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今回のプラスワン

幼稚園の2年間、すっかり大人になってから10年間、
クラシックバレエを習いました。
子供の時は、あるバレエ団が支部を作るので生徒集めを頼まれた母が妹と私を通わせました。
大人になってからは、母が「その体形でバレエ?」とあざ笑うのを無視して頑張りました。
おかげで体重8㎏を落とし、
いろいろと学ばせていただきました。
やめた今でも大切な友人と思い出が残りました。

日本にバレエを根付かせた3人のパブロワのうち、アンナは1922年(大正11年)に全国8都市で来日公演をし、
西洋舞踏を初めて日本に広く紹介、
のちに日本においてバレエが定着・普及するきっかけを作りました。
残る二人のうち、
エリアナ・パヴロワ(霧島エリ子)はロシア革命から逃れ、大正9年に来日、
昭和2年から鎌倉に日本初のバレエ教室を開いています。
もう一人はオリガ・パヴロワ、別名をオリガ・サファイア(清水みどり)といい、
1936年(昭和11年)に来日、正統派のロシア=ソビエトバレエの理論と技術を日本に導入した最初の人物です。
日劇ダンシングチームのバレエ教師として長く活躍しました。
今ではバレエ人口の増えた日本も、黎明期のこうした恩人あってこそですね。
 
ちなみにアンナ・パヴロワ御本人の踊りがyoutubeにあります。
(1925)

彼女の死後『瀕死の白鳥』は誰も踊ることなく、
マイヤ・プリセツカヤが振付を変えて超人的な腕の動き(これもスゴイ)で踊るまで
封印されていたようです。

シシリアン」1969年フランス製作

中学生だったか、TV放映を見て、たいへんおもしろかったのを覚えている。
初めてのフィルム・ノワールの類だったからかもしれない。
飛行機をハイジャックして高速道路に着陸させるシーンはすごいと、まぁ、度肝を抜かれたのだ。
日本沈没のような奇想天外さではなく、
ギリギリ実現可能性を感じるスリルとリアリティだった。

「シシリアン」はギリギリあり得るスリルとリアリティが散りばめられた映画だ。
パリのおもちゃ製造会社が実はシシリー島出身のマフィアだったり
刑務所から殺し屋を脱獄させるのに古典的な方法を使ったり
その殺し屋がマフィアの一人の奥さんとデキてしまったり
それを奥さんの甥っ子が見てたり
宝石を大量に乗せた飛行機をハイジャックしたり
それを高速道路に着陸させて宝石を奪い逃走したり
彼らを追うル・ゴフ警部が殺し屋の潜伏先までやって来たり

観ていて、非常に楽しい。

おもちゃ会社の社長のジャン・ギャバン↓(黒のスーツ)が実にいい。渋い!重い!まさにマフィア一家の親分!
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ル・ゴフ警部のリノ・バンチュラ↓が実にいい。渋い!重い!まさにパリ警察の親分!
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殺し屋サンテのアラン・ドロン↓が実にいい。若い!軽い!親分二人の前では、ただのチンピラ!
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そして、エンリオ・モリコーネのテーマ曲が耳に残る。
ぼよ~ん、ぴよ~ん、ぼよ~ん。


私はこの音楽を小学3年の夏に聴いてから忘れられなかった。
それは町の有線放送から流れたのだ。
ちょうど昭和45年(1970年)台風10号が通過中か、通り過ぎた直後の暗い夏の日、
納屋の屋根瓦が飛んだと騒いでいる祖父母、
豪雨で濡れた土間に長靴が転がっていた。
その正午の時刻にこの音楽が流れた。
ぼよ~ん、びよ~ん、ぼよ~ん。

シシリアンのテーマ曲はその場にそぐわなかったが、私の心にはぴったりだった。
強烈な印象だった。
それにしても、なぜ町の有線放送にこれが流れたのか。
役場に映画ファンがいたとしか思えない仕業だ。

フランス語版予告 ジャン・ギャバンの渋い声が聴けます。




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ジャン・ギャバン、アラン・ドロン 他

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↑英語版がやたら高画質とか制作秘話がいっぱいとか

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今回のプラスワン

製作から40年以上経つと、話以外も観るところが増えた。
それは当時の風俗や建築物や建築途中のパリ郊外の風景、
そして古い飛行機内部だったりする。
コクピットと客席の仕切りがカーテン一枚。
今から30年前に徳島-東京を飛んだYS‐11型機もそうだったような気がするし、
平成2年に妹がローマ-パリを飛んだ時のアリタリア航空機もそうだったと言って話のネタにしていた。

懐かし映画の楽しみの一つは、今は消え去ったモノや風景との出会いだろう。

1980年以降姿を消した手回し式黒電話
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有線放送はこれで聞えてきた。
朝6時・正午・夕方5時だったと思う。
ちなみに町外への電話はまだ出来なかった。
どうしていたかというと、交換手を呼び出して繋いでもらった。
交換手なしで出来るようになったのは、1970年代前半か半ばだった。
母の実家に電話するのがたいへんだったのを覚えている。

「サスぺリア」1977年公開イタリア製作

まずは数点の画像を見ていただきたい。
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美しい色彩がまるで一枚の絵のようだ。
ダリオ・アルジェント監督の恐怖映画「サスぺリア」は、このめくるめく色彩設定と強烈な音響で
私を虜にし続けている。

「決して一人では見ないでください。」という名キャッチコピーは伊達ではなかった。
一人で観に行って腰が抜けそうになったにもかかわらず、
30年以上たった今でも、お気に入り映画の一つだ。

ドイツのバレエ学校が魔女の巣窟で、
アメリカ人留学生スージーが数々の怪奇現象に合いながら魔女と対峙する、
いや、成行き的に魔女を返り討ちにする話だ。

最初の15分がもう白眉である。
土砂降りの嵐の中、空港でタクシーを捕まえられないスージー、
のっけから美少女いじめである。
バレエ学校に着いたら今度は中に入れなくて再びずぶ濡れになるスージー、
スージーと入れ違いに学校を飛び出し森の中を走る少女パット。
このシーンがまた禍々しくも美しい。
友人のアパートに辿りついたパットを襲う毛むくじゃらの腕。
理由は明らかでないまま、パットは殺される。
もちろん友人も巻き込まれる。
ここがクライマックスみたいなものだ。
さすが美少女をいたぶるシーンは総力を挙げている。

とにかく演出も音楽も美術も殺され方もテンションが振り切れている。
動画は見つけてあるが、
見た人がショック受けるとイヤなので貼らない。
それくらいアルジェントは狂っている。

これを映画館で2回も続けて観てしまったのだ(当時は入替え制のない映画館が多かった。)
それで、高校生になりたてだった私は映画が麻薬代わりになる現象を知った。
例の15分に痺れた。
感覚が麻痺しそうだった。
恐怖映画を見るとスカッとするというアレかもしれない。
DVDでは映画館ほどの痺れ方はできませんが。

とりあえずテーマ曲。作曲はGoblin。


最初の15分を過ぎたら、ダルジェントの美学を堪能するに限ります。
あとはそれほど怖くないし、
バレエ学校も突っ込みどころ満載です。
この辺は「もうダルジェントだから何を言ってもムダ」と腹を括るのがいいでしょう。

追記・2014年の夏、キネカ大森にて「夏のホラー秘宝まつり」で7月5日・13日いずれも18:50から上映予定。
スクリーンで観られるチャンスです!



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今回のプラスワン

今では恐怖映画は死語なのだろうか。
ホラーというジャンルもホラーでは括れないほど、細分化し、
ゾンビ、スプラッタ、オカルト、モンスター、パニック、それらの複合型など
レンタルビデオ店でもよく分からない棚が出来ていたりする。

私はスプラッタは苦手であまり見ない。
「13日の金曜日」がその初めだったような気がする。
「サスぺリア」にもその要素はあるが、
それよりアルジェント美学が勝っているので、ほとんど気にならない。
というか、そこに美があればOKという性分だ。
それはどのジャンルの映画にも働く性分なので、
たとえばポルノ映画(これも死語?)も「きれいじゃん!」とアンテナが傾けば見るのだけど、
なかなか出会いは少ない…。
女性が見てきれいなポルノって本当に少ない。
『スクリーン』の封切り紹介には必ず2~3の洋画ポルノが載ってて、
どんなものかなー、と眺めていた高校時代…。

(完全に話が違う方向へ…)

「王立宇宙軍 オネアミスの翼」1987年日本製作

長かった学生時代を終えて
バブル期にもかかわらず根底から就職に失敗していた時期、
浮草のように迷っていた時期に見た映画。

デリケートな映画だよね、これ。
製作スタッフがものすごく若いのだもの、平均年齢24歳、
感性が透き通るような一途さとやる気満々のオタク魂で満ちている。

世の中、綺麗事ばかりじゃねーよ、と言いつつ、綺麗事があってもいいじゃないか!と
有人人工衛星を打ち上げようとする地球ではない惑星の青年達。

私は大好きだ。
もし実写映画だったらクサすぎて見てなかっただろう。
アニメだから出来る技である。

王立宇宙軍 プロローグ


ああ、このプロローグを見た時の何とも複雑な気持ちを覚えている。
森本レオのモノローグ。
素晴らしいメカニック描写と構図。
「これは凄いものが見られるに違いない。」
「だが、しかし!成績が悪すぎて、宇宙軍に入ったということは、
主人公シロツグ・ラーダットよ、
君は努力しないタイプで、宇宙軍とはしょーもない職場なのか?」

フィルムへの高揚感と物語への不安感が一気に押し寄せる。
そして
坂本龍一のテーマ曲と大西信之のオープニングイラストがあまりに美しくて
いったんそれを忘れ、
さらにこれでもかと作り込まれた世界観でそれを忘れ、
少しずつ走り出す物語に我々も併走を始めるのだ。

いい映画だ。

物語は素朴で実直だといってもいい。
シロツグは単純だといってもいい。

そこがいい。

世界初の宇宙飛行士として注目を集めるようになっても、
政治や世間や国際情勢にまでちょっかい出されても、
彼や宇宙軍の仲間は人が変わったりしない。
相変わらずふざけてみたり、
ちょっと自虐的になってみたりする。
変わったのは、給料分の仕事だけしていた彼らのやる気であり、
変えたのはシロツグのちょっとした出会いであり、
相手が信心深い宣教少女リイクニだっただけのこと。

シロツグはリイクニを通して、見知らなかった社会の様相に触れ、見知らなかった自分を見出す。
それがわりと淡々と描かれる。
二人は全く違う世界の住人ゆえにすれ違う。それは喜びではない。
埋めたいが簡単に埋められるものでもない。
リイクニの世間からのズレ方も、また絶妙だったりする。
それでもシロツグはリイクニに会いに行く。

そこがいい。

異世界SFモノでありながら、立派な青春映画なのだ。

映像はたいへんな凝りようだ。
実にマニアックで、ガイナックスらしさが随所に現れる。
特にクライマックスのロケット発射&ロケット争奪戦は狂ったような凄さだ。
映像と効果音と音楽のシンクロは今見ても震える。

王立宇宙軍 (Royal Space Force) ロケット打ち上げシーン


物語は打ち上げ成功バンザイでは終わらない。
ここからが青臭さの真骨頂。
なんと人類の歴史をナレーションもセリフもなく、音楽と映像だけでカーーーーッッと見せる。
わざわざ、これをやるということが若さだ。
純粋バカ的な凄味が全編を貫いているのだ。

そこがいい。

映画は対立するモノを対立したままに描き、何の具体的な解決がないまま放り出し、
リイクニが夜の街で相変わらず布教活動をしているシーンで終わる。

それゆえか、共闘世代のあるアニメ業界人は苦言を呈している。
「僕達はがんばりましたっていうだけの映画で、何の結果も出てないラストはいただけない。」という主旨だ。
それは論点が違うのだ。
共闘世代は社会の不条理と闘うのだが、
高度成長期に育った人間は社会の不条理の中でどう生きるかを模索した。

社会と闘って負けた先代とは違う道を行くのは自然だ。

そして、物質的豊かさとモラトリアムの融合はオタクを産んだ。
彼らはそれまでになかった複合視野を持ち、論理と情報の共有を求めて、
凄まじい伝達と表現能力を発揮しはじめた。現在の「アニメ見るなら誰でもオタク」とはかなり違う。
濃い人達だ。
この映画はその道標のような映画だ。

青春の終わりを予感する人達へ、夏の最後の花火のようにあの声が響く。アンタバライ!


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坂本龍一

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イメージ・スケッチ、たいへんおすすめです。

今回のプラスワン

その頃に作ったコピー同人誌があって、1ページだけオネアミスのことが書いてある。
締めくくりの文はこうだ。

「いつまでも彼らのように揺れ動く魂でありたいと思った。」

ちくしょおおぉぉぉぉ~~~~~~!!!
青かったなぁぁ~~!
かえすがえすも青かった~~!

「スター・ウォーズ」1977年アメリカ製作

今でこそ「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」と、シリーズ中の位置が示されたタイトルだが、
公開当時は単に「スター・ウォーズ」だった。35年も経つのか。
ほとんど歴史になったね、これは。

初々しい映画だった。
そしてジョージ・ルーカスもまた偉大なオタクであった。
遥か昔の宇宙のどこかの広大な異世界とヒーローの物語を執念深く構築したのである。
しかも必要十分条件以上のエンターテイメントとして。

当時、『スクリーン』でこの映画がアメリカで大ヒットしている記事を読んだ。
邦訳タイトルは「惑星戦争」だったと思う。
なんというヘンなタイトルだと首を捻りながらも、
一枚のスチール写真はたいへん初々しかったのだ。
お馴染みルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナ、ハン・ソロ三人組のスチール(当時の映画雑誌から)↓
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なんとも物語の基本を踏まえた絵だ。
姫を守る二人の青年、違うタイプながら気が合いそうな彼ら。そして三人とも、すれてない。
これぞ大いなるシリーズ第一作にふさわしいフィット感だった。

古風な衣装がいい、レイア姫の髪形がいい、
クラシックなサウンドトラックがいい、
効果音がいい、いかにも使い古した宇宙船&戦闘艇がいい、
C-3POとR2-D2のコンビがいい、
シュゴゴーパァーと息まきながら、のしのし歩くダース・ベイダーがいい。

意外にも私の周囲で公開時に観た人達からは評判が悪かった。
もう少し人情モノ的な何かが、
あるいはスタートレックのような知的SFエッセンスが、
あるいは最後にもう一捻りが欲しいような、
そんな感じもした。
確かにチューバッカが吠えて幕切れだから、あら、これでお仕舞なのと思わないこともない。

ただし、最初の文字群が宇宙空間奥に消えていくところで
「Episode Ⅳ」を見逃していれば、話は別だ。
この話の前にも後にもなにかあると分かるから。

それがまさか「シスの復讐」まで続くとはだれが予想しただろうか。
ダースベイダー誕生まで観た後で、もう一度エピソード4に戻ってくると、これが全然別物にみえる。
そして、改めて初々しいなぁ、と
感慨にふけっている暇はないのだけど、ふけりそうになる。

これを聴いて当時を振り返ると、遊びたいさかりの暑い夏によく我慢して補習に出ていたものだなぁ。
狂っていたのだろうか、高2の夏。
田舎の特に楽しみのない夏は、父の中古のラジカセで映画音楽を録りまくることだった。
それが体育祭の応援合戦でたいへん役に立ったのだから、
何が幸いするか、分からない。
「スター・ウォーズ」のテーマ曲を聴くあいだは、遠い世界へのロマンに浸れる貴重な時間だった。




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今回のプラスワン
 
自転車通学だった高校時代、片道25分。
農道を5分漕いだら、あとは片側一車線の県道を朝は太陽に向かって漕ぎ、
夕方は夕陽に向かって漕いだ。
夏は運動部でなくても、かなり日焼けした。
道の周囲はほとんど田畑だった。うちの市の基幹産業は農業だもの。
今でもかなり田畑だ。
その田んぼから、ミドリガメが夜中に這い出して車に轢かれているのが朝の光景。
スプラッタな夏。
命を落としたミドリガメはやがて干からびて薄くなり、「せんべい」と呼ばれた。
秋が来るころには「せんべい」は自然消滅する。
冬には強烈な西風が吹く。
帰り道は地獄になる。
そんな時、心に流れるのは映画音楽だ。
あの頃、応援歌はいつも映画音楽だった。
 
ただ、寝不足の土曜の午後にテストがあると、
集中力が切れて、頭の中はえんえんと音楽が流れ、数学のテストなどは悲惨なことになった。
どれくらい悲惨かというと
問題の意味がさっぱり分からない。
担任にえらい叱られたことは懐かしい思い出だ。

「エトワール」1988年イタリア製作

この映画はジェニファー・コネリーを堪能するためだけにある。
繰り返す、
この映画はジェニファー・コネリーを堪能するためだけの映画だ。

原題ETOILE (仏語で星の意味ですが、ここではバレエで主役を務めるダンサーの呼称を意味します)

1984年のアメリカ映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で
鮮烈な美少女ぶりで銀幕に登場するや、
ブルック・シールズの後釜として熱い視線を浴び始めたジェニファー・コネリー、14歳。
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翌年にはイタリア恐怖映画「フェノミナ」で蛆虫プールに転落するシーンが話題になり
いたぶられる美少女として話題をさらう。
 
さらに翌年には「ラビリンス/魔王の迷宮」で
デヴィッド・ボゥイと共演し、ますます美しさを発揮。

だが、1988年のこの映画はダメダメであった。
たるい脚本・演出・編集。
いったいどこがサスペンスホラーなのか。看板に偽りなのか。
そして、肝心のジェニファーがバレリーナのくせに踊ってくれない!
アメリカからハンガリーまでオーディションを受けに来たのに、受けずに逃げ出してしまう気弱さ↓
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そりゃないわー、と思ったら
誰もいない舞台でなら、堂々と「白鳥の湖」のオデット姫を踊ってのける。
でも、このシーンは遠目に見ても代役が踊ってると分かるのが痛い。

とにかく、ストーリーも謎解きも問題にしなくていい。

ジェニファーが青ざめ、うろたえ、恐怖におののき、叫び、苦悩し、
あっちへふらふら、
こっちへふらふら、
最後にはなんだかわけが分からないうちに白鳥の湖の舞台になり↓
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呪いだったのか、二重人格だったのか、どうでもいいまま
「ああ、ジェニファーを思う存分観た!」

これが、この映画の正しい見方だと、今でも思う。

日本版予告編

 
↑これだけ見ると「よくも騙した、よくも騙したアァァァァァ!」って感じですが、
しょうもなさはすでにフィルムに漂っています…。

カメラワークもあまり美しくないですね~。
せめてバレエシーンだけでも見ごたえがあるかと思ったら、大間違い。
舞台全体が見える遠景撮影のうえにピンボケ!
明らかにジェニファーの代役が踊っているのがバレないための配慮。
オデット役のジェニファーが映るのはアップの時だけ。

繰り返しておきます…。
ジェニファー・コネリーを堪能したい人だけが楽しめる映画です…。


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↑蛆虫プールが話題になる映画ですが、さすがダリオ・アルジェント監督作だけにいろいろおもしろい。

今回のプラスワン

バレエを語りだすと止まらない私。
なので、一つだけ言ってやめておきます。
バレリーナ役として登場する映画で、つい注目してしまうのが、腕の動き!

全身の動きはプロダンサーが代役できても
バストショットになれば、ご本人が頑張るしかない。
その時、腕はどうしてもごまかせないのですね。
腕こそ、バレエの美しさが際立つところなのです。
全身の筋肉をコントロールして、
なおかつ動きの余韻までを醸し出すのが、肩であり、腕であり、手首であり、掌と指先なのです。

ジェニファー、凄くがんばって綺麗な腕しているのに
「エトワール」は映画自体が残念すぎでした…。

「コナン・ザ・グレート」1982年アメリカ製作

学生時代のある朝、研究室に来たTちゃんの目が異様に輝いている。
彼女は昨夜「コナン・ザ・グレート」の試写会に行ったのだ。

曰く、
「もうねっ!筋肉っ!筋肉が凄いものなんてちゃうっっ!!
芸術なのよッッッ!!!芸術ッッッっ!!!!」

筋肉評論家にして古代ローマの彫像にまで鋭い眼光を向ける筋肉マニアのTちゃんを虜にした男、
若き日のアーノルド・シュワルツェネッガーである。

ヒロイック・ファンタジー映画では文句なしに右に出るモノがないであろう「コナン・ザ・グレート」。
原題は「Conan The Barbarian」

映画の冒頭はニーチェの言葉「生ある限り、すべてが試練だ」で始まる

続いて魔法使い(マコ岩松)のナレーションは実に人間くさい。
コナンがマキロニアの王になると明言しつつ、この時代に生きて苦しんだ者の一人であると言う。
単純な英雄物語ではなく、
超人的な力を持つコナンも一人の人間として描かれる。

ナレーションを含めセリフは決して多くないが、時に哲学的だ。
富について、奴隷について、
愛について、運命について、
父と息子について、
実にシンプルな一言を残す。

それが観る側にちょっとした解釈をする余裕と揺らぎを与える。
コナンの一族の仇であるタルサドゥームが捕えたコナンを前に肉体と力について語り、
美少女を一人崖の上から転落させるシーンなどは最たるものだろう。
そのため、
血と暴力に満ちたヒロイック・ファンタジーと見せかけて実にそのとおりの話ながら、
不思議な陰りとカタルシスをもたらす幕切れ。

「息子よ」と語りかけるタルサドゥームの邪眼の呪縛を越えて
コナンはタルサの肉体を力なきものにする。
すると邪教の信者は松明を泉に捨てて静かに去っていきます。
最後に残ったヤスミナ姫。
それでも彼女が次の支配者をコナンとして仰いでしまうのを見た彼は
彼女を置き去りにしようとするが、それをやめる。
彼は支配者への道を歩み始めるのを示すかのようです。

メインテーマ


苦難の成長記録(こうして怪力になりましたっ)↓
Conan The Barbarian - Conan Wheel - Growing Up Scene


見よ、世界一のボディビルダーの肉体美↓


コナンを愛した女戦士がキラキラの守護霊となって彼を守る
ヒロイック・ファンタジーはこうでなくては↓



小道具も大道具も実にいいです。

魔法使い役のマコ岩松、どこかで見たことあると思ったら
「地球の頂上の島」でイヌイットを演じていて
たいへん印象に残っていたのでした。
彼は声もすごくいい。
もう一人、どこかで見たと思ったら、ヤスミナ姫の父王がマックス・フォン・シドー。
「エクソシスト」の神父さんではありませんか。


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今回のプラスワン

救出を頼まれたヤスミナ姫がすっかりタルサの虜になって、
あられもない格好で彼の足元に寝そべっているシーンで
これもどこかで見たと思ったら
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↑「スターウォーズ6 ジェダイの帰還」(1983年)でのジャバ・ザ・ハットとレイア姫奴隷バージョンでした。
 
私は先にスターウォーズ6を見ましたが、製作年から言うとコナンが一年早い。
ジョージ・ルーカスがコナンを見て「よーし、レイア姫のサービスショットはこれでいこう」と
決めたかどうか知りませんが、
まさかスターウォーズでこれが出るとは思わなかった…。

おまけ・コナンとヤスミナ姫
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「お水、どーぞ」「…悪いわねぇ」
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「風と共に去りぬ」1939年アメリカ製作

中2の修学旅行前後に寝不足で苦しんだ原因はこれです、「風と共に去りぬ」。
アメリカ南北戦争を背景に、
没落する南部豪農の令嬢スカーレット・オハラが豪快に生き抜く大作。
前編と後編に分けて初のTV放送に釘づけになったあとは…
眠れない!
どうしてもこうしても眠れない!
頭の中に響くタラのテーマ、脳裏に焼きつくヴィヴィアン・リーの美貌、心奪われる激しいストーリー。



翌朝、重い足で自転車をこいだ学校への長い上り坂。
誰も「風と共に去りぬ」の話をしない。
ああ、凄い映画だねと語り合いたかったあの頃、
同好の士を見つけるのは至難のワザでした。
ううう、不毛の中学時代よ。
数年後、最後のリバイバル上映があり映画館で初めてヴィヴィアン・リーの声を聴きました。
TVの吹き替えは栗原小巻でしたから、甘い声を予想していたのですが、
意外に丈夫で低めでした。
それで、できれば洋画は吹き替えより俳優ご本人の声を聴こうと思ったのはこの頃から。

スカーレット、アシュレイに結婚を迫るが断られるどころか
彼に「メラニーの悪口は許さない」とたしなめられて、腹いせに花瓶を投げる。↓



アシュレイとメラニーの結婚への腹いせに、メラニーの兄と結婚するものの、すぐ未亡人になるスカーレット。
軍資金調達バザーでダンスの指名料を寄付する催しで
チャールズ・ハミルトン夫人(スカーレット)を御指名のレット・バトラー。
この時代、未亡人は身持ち固く、ダンスなどもってのほかだけど、彼女は喜んで喪服で踊る。
大顰蹙を買っても気にしない。
周囲の批判的なまなざしが時代の空気を感じさせます。↓


奴隷制度の描き方やミッチェルの原作が黒人差別的などの、
人権思想的批判はあるものの、
当時の映画を現在の感覚や価値観で断罪するのはナンセンスよのぅ。
それより、ミッチェルの祖母がちょうど南北戦争体験者で、
その話を直接記録するかのごとくに小説を書いたのだから、
白人側の歴史&民俗資料として読むのも一興ではないでしょうか。
 
ヴィヴィアン・リーは私にとって、今も思い入れの深い女優さんです。


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映画のようにすらすらっと進まない展開ですが、時代背景から風俗まで読みごたえばっちりです。全5巻。



今回のプラスワン

しばらく寝ても覚めてもタラのテーマが鳴り響き、なんとなく虚ろなワタクシ。
父親が見かねてか「映画のサントラじゃー」とレコードを買ってきました。
ありがとう、父よ!
しかし、それはジャケットだけが「風と共に去りぬ」。
内容は6つの映画のテーマ曲のみが入った、いわゆるテーマ曲集です。
「男と女」「第3の男」などがありました。
せっかく父が気を利かせてくれたレコードです。
サウンドトラック盤じゃないなどと文句が言えるわけもなく、よく聴いていました。
父は「若い時に見た映画は忘れられんなー」とよく言ってました。
それで映画の話ばかりしている娘を、
自分に似ていると思ったのかもしれません。

ちなみに父が最高に面白かったと豪語した映画は1952年の邦画「娘十八びっくり天国」…。
笑いあり涙ありの、人情喜劇です。私は未見です。

う~ん、映画の趣味は全然似てない…。

「サウンド・オブ・ミュージック」1965年アメリカ製作

前回「タワーリング・インフェルノ」で途中リタイアとなったお詫びにと、
例のお姉さんが連れて行ってくれたのが、安心安全なミュージカル映画の名作です。

予告編


時代はナチス・ドイツに併合された頃のオーストリア、ザルツブルグ。
見習い修道女マリアはトラップ大佐の7人の子供達の家庭教師になり、紆余曲折の末、大佐と結婚。
しかしドイツ軍人になれと迫られて、一家で亡命という話。
よく知られてもいるので詳しいことは置いておきます。

ここで、私の視点は太平洋の向こうアメリカ大陸、さらに大西洋を越えて、
いきなり欧州にとんでしまいました。
そして「ヨーロッパ!すげえええええーーーーっっ!!」となりました。
…(笑)
……(笑)
なんでこうなった…映画を作ったのはアメリカだぞ、ハリウッドだぞ。
それがなぜ「ヨーロッパ、すげええーーっ!」になるのだ…。

やられました、
やられたのです、トラップ大佐のおうちにやられた。
素晴らしい大邸宅。
家庭教師にやって来たマリアならずとも、生唾を飲む素晴らしさ。
車寄せ、重厚な玄関の扉、エントランスから続く広間は大理石が敷かれ、
階段の手すりまで繊細な意匠が凝らされ、周りの部屋は数えきれない。
さらに庭園にはガラス張りの東屋と湖まで。

正確には「ヨーロッパ建築、すげええええーーーっっ!!」ですね。
「ああー、日本の侘び寂び渋みとおさらばして、あっちへ行きたい」気分に。
数年後『陰翳礼讃』を読んでも、
この強烈な憧れは消えるどころか、ますます強くなる一方。

「サウンド・オブ・ミュージック」を観てこうなるとは、珍しいタイプでしょうか…。

アジアよりアメリカよりヨーロッパに惹かれる傾向は、この映画で決定的になった…。
許して、日本…。

そして、踊るのが好きな子供だった私はこのシーンに魅了されました


(3:11から)

マリアと大佐のダンス!
阿波踊りと田舎の盆踊りしか踊る機会のない私にとって、
踊りながらお互いの恋に気付くマリアと大佐は、もう、ロマンチックの極み!
「ああー、日本の『女三界に家なし』とおさらばして、ますますあっちへ行きたい」気分に。


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1956年、西ドイツ製作。サウンド・オブ・ミュージックの元ネタ映画ながら、当時の雰囲気により忠実で、出来も良し!



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マリア・フォン・トラップ自伝の上巻。アメリカに亡命してからのお話は下巻です。



今回のプラスワン

知り合いのお姉さん同伴だった件。
それは心配性の母親が
「一人で映画館へ行くなんてダメ!あんたみたいな背が小さくて世間知らずの中学生が
バスと国鉄を乗り継いで行く途中にも何かあったらどないするの。」と、
まぁ、心配の百回を繰り返したからですね。
さらに当時は姑の権限を振りかざしていた祖母が
「年頃の女の子に何かあったら世間に何ていわれるやら。」と。
(世間に…ってところが時代を感じます。
私の身だけを心配しているのではないのです。)
祖母のイメージでは映画館などはいかがわしい街と直結しているのです。
明治生まれの質実剛健さを頑なに守っている祖母らしいといえば、そうなのですが
…どうも祖父に多少遊び人の気があったせいか、
都市部での遊興を毛嫌いしていたようで…。
そこで母の教え子であるお姉さんに白羽の矢が当たりました。
非常にしっかりした女性で、
「タワーリング・インフェルノ」後のフォローまでしてくれました。
映画三昧をするきっかけは彼女との2度の映画館行きだったことは間違いありません。
心配性の母と世間体を気にする祖母の作戦が好い方に転んだとも言えますね。

しかし、なんという箱入り娘状態だったのか。

一人で映画館に行く許可が出たのは、高校になってからでした、とほほほほほ。

「タワーリング・インフェルノ」1974年アメリカ製作

映画館デビューが、途中棄権になった悔しい思い出の映画、「タワーリング・インフェルノ」
お小遣いをやりくりして
ひと月置きに映画雑誌『スクリーン』を買い始めた中2の夏。
知り合いのお姉さんが連れて行ってくれたのに、
火災が始まって最初の犠牲者が出たところでギブアップ。
私は火災には完璧にびびりでございました。

アメリカ映画界はパニック映画最盛期でしたね。
そのパニック映画代表作ですから、
免疫のない小娘などはいっぺんにノックアウトされました。
しかし、一度こういう目に合うと、
すぐあとにやってきたオカルト恐怖映画群など、平気になってしまうわけですが。

「タワーリング・インフェルノ」邦訳「そびえ立つ地獄」、予告編↓


映画を全部見たのはレンタルビデオ店が出来てからですから、
10年ほどあとです。
消防車なんぞ歯が立たない超高層ビルが火事になった原因が安普請という、
笑うに笑えないシチュエーション。
コストダウンの張本人は天罰なのか、秘書とこっそり逢引きしてて最初に死んじゃったような気がします。
かわいそうなのは、巻き込まれた秘書だ。

序盤からじわじわくる脚本。
セリフの一つ一つがこれから始まる惨劇をきれいに予告してくれるから、
出火前からもう怖い。
「タイタニック」も同様の脚本だけどジャックとローズのロマンスが主軸ゆえ、
二人の恋の方が気になるように出来ています。
でも、「タワーリング・インフェルノ」は群像パニック軸オンリーだから、本当に怖い。
ビルの完成パーティが最上階で、
紳士淑女が逃げ場を次々と失っていく展開や、
せっかく子供と愛猫を助けたのに転落死するジェニファー・ジョーンズなど、
非情さたっぷり。

怖いシーンあるのでご注意を↓



当時のハリウッド2大スター、
スティーブ・マックィーンとポール・ニューマンの共演に加えて、
フレッド・アステアやウィリアム・ホールデンなど豪華配役だったのですが、
ビルの設計技師(ポール・ニューマン)と消防隊長(スティーブ・マックィーン)の
スター俳優としての張合いがちょっと邪魔。
特にスティーブの持ち味であるギラギラした男臭さがかっこいいと感じるか、
イヤらしいと感じるか、
私にはかなり境界線上です。
豪華配役でライバル魂も炎上したとしか思えない。

フレッド・アステアの可愛い老紳士にちょっと和みます。
ラストの猫を抱いて悲しみにくれる姿が忘れられません。
あと、グラス・タワーが美しくない…。
やっぱり安普請だからかしら…。


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これだ!
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「地球の頂上の島」1973年アメリカ製作

映画館ではなく、中学校の体育館で観ました。
全校生徒を体育館に集めて、ステージ幕に白布貼って、始まり始まり~~。
今から思い出しても謎の行事でした…。
 
ディズニー製全年齢向け実写冒険映画。


物語は20世紀初頭、
イギリス人大富豪は北極探検に行ったきりの息子を探すため、
アメリカ人考古学者と
飛行船ハイぺリオン号船長と共に北極圏へ。
このハイぺリオン号とその主が愛嬌たっぷり。
特にハイぺリオン号は終盤の見せ場まで大活躍。
格納庫から出てくるシーンだけでも素晴らしい。
夜明けの太陽をバックに緑あふれる田園風景、貴婦人の如く現れる飛行船。
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映画はたいへん作り込まれていて、
息子が恋しい父親一行を乗せて北の海を進むときも
貴重な動物たちの映像を織り交ぜるサービス精神。
全然不自然でない探索地設定。
特撮がまた良くて、フィルムの繋ぎ方が素晴らしい。
息子と再会したものの、
そこは火山の地熱で緑豊かなヴァイキングの末裔が昔と同様に暮らす村。
侵略者と誤解されて、
ヴァイキング式に船上での葬式(火あぶり)をされそうになったところ、
金髪美女の手引きで脱出。
その後インディジョーンズばりのアクション満載、
流氷に乗って海に出ればシャチの群れに囲まれるものの(シャチが可愛い)
遭難してはぐれた飛行船とその船長が現れて撃退してくれるという
王道展開をはずしません。
それにしても、なんという映像の迫力。
悪役ヴァイキング神官も迫力たっぷり。
何も考えず映画の世界にのめり込めたのは、まだ素直なローティーンだったからだけだはなく、
映画パワーが素晴らしかったからでしょう。
ハイぺリオン号大炎上シーンは今も瞼の裏に残っております。
それと、例の金髪美女が美人で美人でも一つ美人で
しばらく恋焦がれておりました。
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私、美しいものが大好きです。

ああ、唐突に思い出した。
体育館取り壊し前の記念行事だった…ような…
いや、新体育館完成記念だったのか…映画会…。

今回のプラスワン

ヴァイキングと言えば、これだ!
「ヴィンランド・サガ」
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幸村誠のヴァイキング歴史漫画。月刊アフタヌーンで連載中(時々休載)。
コミックスは現在12巻まで。(2014年2月に14巻発売)
いやぁ、おもしろいわ。私、トルケル好きだなぁ。
彼の戦士としてのブレなさすぎる性格は美しいと思いませんか。


ヴィンランド・サガ(13) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(13) (アフタヌーンKC)
(2013/07/23)
幸村 誠

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幸村 誠

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大人買いします?

「ピラミッド」1955年アメリカ製作

映えある第一回記念というわけで、私を映画に引きずり込んだ憎い作品をご紹介。
それは「ピラミッド」。
1955年アメリカ製作、監督ハワード・ホークス、主演のファラオはジャック・ホーキンス。
原題Land of The Pharaohs。
昭和のオイルショックの年にTVで見ました。
その頃、我が家のチャンネル権は祖父にあり(はい、TVは家に一台の時代です)
当時は子供&お年寄りは午後9時就寝がルールでしたが…
その夜、祖父は何を間違えたのか、この映画の放映開始時刻にチャンネルを合わしてしまったのです。
それも午後9時に。確か土曜の晩だったような。

いやぁ、いきなり王の凱旋行進のスペクタクルで始まっちゃう「ピラミッド」


凄い数のエキストラ。CGではない。
一万人の人海戦術で魅せるとはハワード・ホークスが憎い。
ハリウッドが憎い。
で、魅せられてしまった当時の我が家は三世代、祖父母・両親・私・妹。
いつもなら寝ようかと言ってる時間にワクワクドキドキしていられるのですから、
寝るなんて言いません。
スペクタクルのあとも、ジャック・ホーキンスの男臭いファラオの演技やピラミッド建設の妙(設計技師がまたいい感じ)、
またしてもエキストラ大量投入のピラミッド建設が凄い。
怪しげな寵姫と奸臣も登場して、緩い展開ぶりにもかかわらずなんだか目が離せない。

当時の四国の片田舎、
まだ路線バスが健在でJRが国鉄だった頃、
映画館は遠くにありて思うものだった頃、
風邪で熱が出た時にしか刺身が食べられなかった頃、
そしてちょっと古武士的な厳しさの残る我が家で羽目を外す行事の一つもなかった頃、
「ピラミッド」によるハプニングは新鮮すぎる体験となったのです。

そして、この映画の白眉は最後の5分にあると言ってもいい。それは出来上がったピラミッドにファラオが葬られるシーン。
Youtubeで完全にネタバレでございます。↓
Land of the Pharaohs (1955) - Burial, Indiana Jones-style

おおぅ!
何とシステマチックな仕掛けよ!ときめかずになんとする!
これがけしからぬ寵姫へのお仕置きとなります。
「死にたくないわ~!」と泣き崩れる王の愛妾、神官達の「オメーも道連れじゃー」という意地悪な笑顔がとてもいい!
ファラオと設計技師の用意周到さを見せつける幕切れ!
子供心に「王家=陰謀&死」の図式を刻み込んだ歴史劇の2時間が終わるとさっさと眠れてしまう妹とワタクシ。
さすが子供でございました。
この後、映画熱は一年半後、一気に爆発。あいかわらず映画館とはほぼ無縁の田舎暮らし。
頼るべきはTVのみ。
新聞の番組欄をチェックしては、夜な夜な家族の目を盗んでTVに貼りつく10代を過ごすことになるとは…。


LAND OF THE PHARAOHSLAND OF THE PHARAOHS
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不明

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USAからの輸入DVDです。ゆえにオール英語です。オーマイガッ!しかし、そこがいい!という寛大な時代劇ヒアリングにどうぞ。


今回のプラスワン

父は新しいもの好きでした。
知り合いの電器店が新製品のカタログを持ってくるたび、母が不機嫌になるほど現金をつぎ込みました。
その恩恵を一番受けたのは相撲とプロレスと野球観戦が大好きな祖父でした。
東京オリンピックの時に白黒TVを買って、御近所も一緒に見たとか。
画像に近いTVが家に来てから20年近く持ちました。
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たいへん長生きをしたTVです。


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